は(灰色の空の下)


灰色の空の下、風は冷たく吹き抜ける。
荒んだ心を突くのは、君という名の存在。

どうして、と考えるよりも、
逢わなければ良かったと思った方が楽なんだ。

逃げてる自分が嫌で、それでも運命を許せなくて。
結局僕は君という呪縛から逃れられていない。
寂しかったんだ。
苦しかったんだ。
太陽は隠され、僕の心は暗いまま。
好きだったんだ。


灰色の空の下、雨音が静かに耳へと届く。
そんなに激しいわけじゃない。
そんなに冷たいわけじゃない。
僕の代わりに泣いてくれてるのかな、と思った。

あの日も同じような空だった。
君の優しさが溶け出し、僕の世界を流れて行く。

まだ想う自分が惨めで、それでも運命が憎くて。
結局僕は君という呪縛から逃れられていない。
疲れたよ。想うことに。
僕は僕を納得させようと、
僕は僕に嘘をつく。
きりが無いよ、この空は。
本当に好きだったんだ。


灰色の空の下、僕はまだ君を想う。