温もり


吐く息が白い。

「もう冬だね」
なんて、隣で寒そうに身を寄せる君が言う。

手袋をしても冷たいその手を、いつも僕は温める。
ひやっとする感触は、いつまでたっても慣れない。
だけど嫌だと思うことは一度もなく、
今日も僕は君の手を握って温めるんだ。


夕刻が迫る。

二人でくっ付き合って、まるで極の違う磁石のように
離れようとしない。
離れたくない。

「もう冬だね」
寒そうにぶるっと体を震わせた君の肩を抱いて、
ぐっと引き寄せた。
沈んでいく夕日を見ている君の目が優しい。

愛おしい、なんて言葉じゃ表しきれないよ。
いくら言っても足りない。
いくら想っても伝えられない。


君を想う心が、
君の安らぎとなって、温もりとなるように。
この寒い冬、少しでも君に温もりを。
君と過ごす時間に愛を。