私達は絶交した。 いや、私が無理矢理あいつから離れた、と言った方が正しい。 自分でも身勝手で、自分勝手なやつだと思う。 だけど。 一番の親友だったんだ。 今日の夕方なのに。夕方行ってしまうのに、言ってくれなかった。 あいつは、夕方飛行機に乗って、どこかへ行ってしまうんだ。 ここから遠くに。日本じゃない。どこか遠くに。 国名を聞いても地理が苦手な私は、地図帳を開かなければ、どこにあるか分からなかった。 あいつが行く、ということを言ってくれなかった。 そんなことだけど、私にとってはすごくショックだったんだ。 目が点になった。開いた口が塞がらない。一瞬にして、周りが暗くなった。 「さよなら」なんて言いたくなかった。 「またいつか会えるよね」なんて言いたくなかった。 あいつの気持ちも分からないことはない。 けれど、私はとても悲しかったんだ。 一番の親友だったんだ。 学校から帰ったら、「ただいま」も言わず、自分の部屋に駆け込んだ。 枕に顔を埋めて、泣いた。 あいつがいなくなってしまう―――そう思うだけで、どんどん涙が溢れてくる。 その気持ちが怒りに変わり、あいつの悪口を思ってもないのに口が吐く。 そんなことない。あいつは良い奴なんだ。 けれどどうしようもできない私は、どうしようもないほど無力で。 そしてまた泣き崩れた。 大体涙が収まってきた頃、あいつとの思い出が、主人の許可なく勝手に蘇ってきた。