私が中学生になって、あいつと同じクラスになった。 私は初めてあいつの存在を知った。 何人かは小学校から別の中学校に行ってしまったけれど、殆どの人はそのまま隣の中学校へと進学した。 なのに、私は初めてあいつの存在を知ったんだ。 あいつは活発で、それでいて聡明で、優しかった。 だから皆からも信頼されていた。そして私達はすぐ打ち解けたんだ。 いつも一緒にいた。親友だった。あいつがそう言ったんだから。 中学生になって一週間目のある日、あいつが上級生から何か言われているのを見た。 あいつはいい奴だから、上級生が何か悪いことをしたのが、見過ごせなかったんだろう。 だから、私も止めに入った。 あいつも私も殴られた。 一発ずつ殴ってから、上級生は「今日はこれで済ましてやる」なんて言って、威張って帰って行った。 あいつは泣かなかった。 私も泣かなかった。……あいつが見てるから。 あいつは私に謝った。「ごめんな」って。 「なんで謝るんだ?友達だろ?」 「違うぞ、お前。“親友”だ」 そう言ってあいつはにっと笑った。笑いが止まらなかった。それに、嬉しかった。 あいつとの苦いけど、嬉しい思い出だ。