まだまだいっぱい溢れてくる、あいつとの思い出。
たった1年、たった1年一緒に過ごしただけで、私達の絆は太く、固いものになっていた。
ちょっとやそっとじゃ切れない、固い絆。
私はあいつと一緒に過ごした日々を想う度、悔しくて歯痒くなった。
そんなことを感じて、はっとした。
―――私は……
そこで初めてあいつを好きなことに気付いた。
いつまでも一緒にいたい。いつまでもあいつと日々を過ごして行きたい。
そんな自分勝手な思いが浮かんで、自分の思いに気付いたんだ。
なんでこんなに泣けるのか。
なんでこんなにあいつとの思い出が苦しいのか。
気付いたんだ。
私は家を飛び出し、自転車を引っ張り出して、全速力でこぎだした。
一目で“泣いた”と分かる充血した眼で、私は空港の方を見た。
空港と一緒に太陽も見えて、空がオレンジ色になり始めるところだった。
間に合うのかな…。
そんな思いが出てきて、ぶんぶんと首を振る。
間に合う。間に合わせる!